あどのすけ日記

素直に生きたいという目標があります。 大学を休学してインドネシアへ→ゲストハウスで働く→日本語教師→図書館司書(現在) 日本語教師に役立つ情報を多く紹介しています。

【感想】「東大教授が教える独学勉強法」柳川範之(東京大学経済学部教授)

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最近、世界遺産検定の勉強をしていて、”勉強”そのものに興味が湧いてきた。

行きつけの図書館で、勉強法や勉強のやり方などの本を探していると、1冊の本が見つかった。

「東大教授が教える独学勉強法」。表紙の文房具の絵が可愛らしい。

読んでみて気になったことや、感想をまとめる。

 

 

著者紹介・概要

東大経済学部教授の著者、柳川範之さん。特殊な経歴の持ち主である。

父親の仕事の都合で、幼い頃から海外を転々としていため、高校へは進学しなかった。

その後、大検を受け、慶應大学経済学部通信課程へ入学。慶応の通信課程といえば、入るのは簡単だが、卒業するのが難しいと聞いたことがある。書類選考のみで入学できるのだが、おびただしい量のレポートを出さなければならない+高い質が求められるため、勉強を続けられないのだ。

この苦行を4年間、大学の友達もつくれない状況では精神的にもつらいだろう。

 

しかし、柳川さんは慶應大学経済学部通信課程を卒業。その後、東大の大学院へ進み、現在は、東大の教授になった。

 

中学卒業後、学校に通わずにほぼ独学だけで東大の大学院へいったと考えてもいい。梁川さんは独学のプロだ。

 

本書は、独学の良さや、やり方、”学ぶこと”自体の楽しさを伝える本だ。

 

知識をたくさん知っているだけは役立たない

昔はいろいろな知識を知っているだけで、頭がいいと思われた。今でもそういう部分はあるけれど、今後は、頭がいいと思われれるための要素として「たくさんの知識」の割合は減っていくだろう。

 

ネットがあれば知識を覚えなくてもいい

今から100年前は、インターネットがなかった。どこから知識を得ていたのだろうか。学校?本?

2018年現在、ほとんどの人がインターネットを使うことができる。わからないことはネットで調べればいいのだ。覚える必要なんかない。

柳川さんは、「博識よりも、”考える””選ぶ”ことが主役になる時代になった」と、勉強とは何か?という問いの答えが変わってきたことを分析した。

 

「考える」ことが求められる

”考える”ことが勉強の本質だという。

自分の頭で考え、物事を判断する力が求められている。

 

 

正解、不正解だけの世界ではなく、答えのない問いに答えられるようにならなければ、これからの世の中は生き残れない

 

この間の平成教育委員会で知ったのだが、最近の学力テストでは「考える力」を養うために正解のない問題が用意されている。

たとえば、ベーシックインカムというテーマで、「働かなくても、生活費がもらえるとしたらあなたは働きますか?働きませんか?」という質問。

この問題が中学受験で出るというのだ。採点はどうなるのか、気になる。

 

有名私立中学などでは、「考える力」を養う教育課程にすでに変わっているのかもしれないが、公立はおそらくまだまだだろう。

 

常に「本当にそうなのか?」と考えて生活する

今の大学生は「何か質問はありますか」と聞いても、誰一人として質問がないことが多いという。

実際に、質問がないこともあるが、熱心に講義に参加している学生なら質問はある。ただ”空気”が質問させないのだ。「質問してたら、講義の時間が伸びるじゃんよ」と思われたらイヤだから。KYになりたくない学生は授業後に質問に来る。

 

柳川さんはその点には触れなかった。学生は「話を素直に受け入れすぎ」だ。「疑問を持て」と思っている。

具体的にいうと、テレビを見ている時も、散歩しているときも「これは本当にそうなのか」「矛盾があるのではないか」と考えながら生活しろ。

物事をそのまま受け取るのではなく、睨み返すように反発しろってことか。

 

これはブログを書く上でも役に立つと思った。ブログネタがないとか、アイデアが浮かばないとかって人は30分外を散歩して、色々なことに文句を言いながら歩いてみたらいい。

「こんな近くにコンビニが2つあっても意味ないだろ!」「もっと喫煙所増やせ!」など笑

 

発見したことをメモする。始めは意識的にしていても、だんだんとクセになってくる。

 

本の読み方

独学には、本。インターネットの知識は浅く広くが基本なので、その分野について知りたいと思ったら、本を読めとのことだ。

具体的には、

入門書3冊→ぱらぱらと読んで読みやすいと思ったものだけを読む。他は捨ててもいい。

 

貧乏にはきつい、と思った。

本1冊、2000円すると考えたら、2冊で4000円。

気軽に3冊も買えない僕のような貧乏には本の選び方を教えてくれた。

  • 学歴がある人が書いた本
  • アマゾンなどの評価・レビューは参考にしない
  • その分野に詳しい友人に聞く

その分野に詳しい友人に聞くのが最もいい方法なんだとか。

僕はそもそも友人がいないから、結局ネットに頼ることになりそう。

 

本を読んだら感想を書く

本を読んだら、感想を書く。

本書を読みながら僕もやってみた。すると、ブログがスイスイ書ける。冒頭の部分を読み返さなくても、自分のメモで本全体の流れは思い出す。

自分がメモした文を見出しにして、その部分を読み返す。そして、気になったことを書く。

 

色々な本にも書いてあるけど、やはりアウトプットって大事。

 

柳川さんがいう、本の感想を書くときのポイント

  1. 自分のことばで書く
  2. 中学生でもわかるくらいやさしく書く

1が難しい。自分の言葉がぽんぽん出てこない。大学で卒論を書く時に言われたこととほぼ同じことが書かれていた。

本を読んで、すぐに自分の言葉は出てこない。何日も考えてようやく自分の言葉で言えるようになる。

 

2は、ブログを書く上でも言われていることだ。

本書「東大教授が教える独学勉強法」自体がやさしく書かれている。難しい専門用語などが出てこないのだ。こんな風に書いてみてください、お手本にどうぞ、という意味なのか。

 

まとめ:独学勉強法というより、あせらず”学ぶ”ことの楽しさを教えてくれる本

具体的な勉強法も少しは載っていたが、大部分はテクニックではなく、エッセンシャルのこと。

「学ぶことがこんなに楽しい」と伝え、楽しくなるためには、こう考えて生活したらいいのだよと諭す。

柳川さん自身の経験が説得力のあるもので、すんなり理解することができた。いや、本書で言われているように、すんなり理解してはいけないのか。

もう一度反論できる箇所を探しながら読んでみたいと思っている。

 

また、文章自体がとても分かりやすく、やさしく書かれているので、読んでいて全く疲れなかった。