【実体験】日本語教師の給料は安くない!新卒で日本語教師になったらいくらもらえたか。
「日本語教師の給料は安い」。
日本語教師を目指している方なら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
「昔と比べたら、ずいぶんと待遇が改善した」。
これは年配の日本語教師の方々がよく言うことです。
日本語教師になる前の僕は思いました。「安い、待遇が良くなった、とか相対的なことではなく、具体的な数字が知りたい!」と。
今回は、新卒で日本語教師(常勤)になった僕がどのくらい給料をもらっていたのか、具体的な数字で答えます。
どうして日本語教師の給料は安いと言われる?
そもそも、どうして日本語教師の給料は安いと言われるのでしょうか。
その理由は2つあります。
1、常勤講師が少ない
「給料が安い」と言われるのは、常勤講師が少ないからです。
一般財団法人日本語教育振興会による平成29年度の調査では、全国の日本語教師のうち、常勤は30.4%でした。
残り69.6%は非常勤講師です。
非常勤講師は授業のコマ数によって、給料がもらえるので、人によって給料は違います。
例えば、1コマ2000円の民間日本語学校で週2日(1日4コマ担当)働いている非常勤の場合、
2000円×4コマ=8000円
8000円×2日=16000円
16000円×4週間=64000円です。
常勤講師は、基本的にフルタイムで働きます。月給制なので1週間に何回授業をしようと給料は変わりません。
手取りで19~22万円くらいでしょう。
仮に、非常勤講師が週5日(1日4コマ担当)働いたとしたら、週2日の場合の給料を2.5倍すればいいので、
64000円(週2日)×2.5倍=160,000円(週5日)
16万円です。週5日働くとなれば、社会保険に加入しなければなりませんので、16万円からさらに社会保険料が引かれます。
このように、常勤講師と非常勤講師では給料が大きく違います。
「相対的に多く給料をもらっている常勤講師が少ない」せいで、日本語教師全体の「給料が安い」と言われます。
2、海外で働く日本語教師
海外で働く日本語教師の影響も大きいです。
独立行政法人国際交流基金の平成27年度の調査では、海外で働く日本人日本語教師の数は、14,301人でした。
海外で働く日本人日本語教師の給料は2つの要素によって変わります。
働く地域
働く地域によって、顧客の経済事情が変わります。
つまり、比較的裕福な層が多い地域(ヨーロッパ、北米など)では、顧客がお金を持っているので、その分給料が上がります。
逆に、比較的裕福な層が少ない地域(東南アジア、アフリカなど)では、顧客がお金を持っていないので、その分給料も下がります。
働く機関
働く機関によっても給料は変わります。
一般的に、大学など高等教育機関は給料が高いです。
民間の日本語学校の場合は、現地の会社員と同じなので、現地水準の給料になります。
- 給料(1ヶ月):5〜10万円
- 賞与:1回
- 無償住宅提供
- 渡航費用:2年目に往復分支給
- ビザ取得費用:全額学校負担
これは、知り合いの日本語教師の実際の待遇です。
あくまで一例ですが、日本語教師の海外求人をみると大体こんな感じです。
安いと思いますか?
ベトナム人にとっては安くないんです。
2018年現在、ベトナム人の平均月収は約4万円です。
4万円で、十分に暮らしていけるのです。
つまり、海外で働く日本語教師の給料は「金額は日本に比べて安いが、現地では平均より少し上ぐらい」である。
海外の給料を日本の給料と同じように考えてしまうために、「日本語教師は給料が安い」と言われるのだ。
実は日本語教師の給料は安くないんです。
この記事の主題である「日本語教師の給料は安くない!」について話したい。
まずはじめに、給料が「安い」「高い」というには、何か基準を設定しなければならない。
その基準より上だったら高いし、下だったら安いといえる。
そこで、大卒者の初任給を基準とすることにする。
理由は、常勤日本語教師は四大卒が採用条件であることが多く、僕も新卒で日本語教師の世界に飛び込んだからだ。
厚生労働省の「平成29年賃金構造基本統計調査」によれば、大卒者の平均初任給は、
206,100円
この金額より上ならばければ高い、下ならば安いとしよう。
※なお、ここでいう日本語教師は民間日本語学校の講師を指します。
常勤講師の場合(僕の実体験)
常勤講師の場合、1日8時間労働のフルタイム、給料は月給制である。
求人サイトを見ればわかるが、その給料は18〜23万円+各種手当だろう。
具体的に、僕の給料を見てみよう。
- 基本給:230000円
- 交通費:全額支給
- 残業手当:なし
- 担任手当:5000円
- 進路指導手当:5000円
- 社会保険完備
新卒で入った月は、担任手当・進路指導手当がなかったので手取りで213,000円でした。
常勤講師であれば、担任・進路指導はすぐに任されるので、そしたら+1万円ですね。(僕も入社2ヶ月後から担任・進路指導をやりました)
223,000円です。
大卒者の平均初任給(206,100円)より上ですので、給料は「高い」です。
非常勤講師の場合
非常勤講師の場合は労働時間を自分で選べます。
ですが、今回は常勤講師と同じフルタイムで働いた場合を考えます。
(その働き方だと常勤講師では?と思うかもしれませんが、非常勤講師は「授業」のみを担当し、事務的な作業は一切しません。例えば、学校行事の運営や教具・教材の発注など)
日本語学校の時間割は、午前4コマ・午後4コマとなっている学校がほとんどです。
コマ給は、僕が聞いた中で一番安い1コマ1600円にします。
それに当てはめると、
1600×8コマ(午前・午後)=12,800円(1日)
12800円×5日=64000円(1週間)
64000円×4週間=256,000円(1ヶ月)
です。
はい、常勤講師より多いです。
実際にこのような働き方をしている方はほとんどいません。
ただ、単純に給料を計算すれば、金額は大卒者の平均初任給(206,100円)より上ですので、給料は「高い」です。
授業準備の時間
上の計算には、授業準備の時間が含まれていません。
なぜなら、授業準備に給料は出ないからです。
一般的に、未経験者の場合、授業準備にはその授業と同じぐらいの時間がかかると言われています。
非常勤講師で1日8コマ、フルタイムで働く人がいないのはそのためです。準備する時間がなくなってしまうからです。
まとめ:日本語教師の給料は金額だけみたら安くない
日本語教師は、雇用形態による理由と、海外との経済的なギャップによって「給料が安い」と思われています。
実際の給料は、金額だけを見たら、大卒者の平均初任給(206,100円)よりも「高い」ことがわかりました。
しかし、授業準備に時間を取られ、下手すれば授業時間と同じだけのサービス残業をしています。
このサービス残業時間をいかに短くするかが、給料をあげるコツであり、薄給のイメージを払拭するポイントです。